2月11日‐2月17日 日記
石丸奈菜美
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子を預かって貰って、私自身の定期検診をいくつかこなしたり、役所巡りや書類提出を済ませたりした。タイムスケジュール通りに進み、滞りなくすべてのタスクを終えることができた。達成感で胸がいっぱいだ。
病院や役所の待合室では川上弘美の『このあたりの人たち』を読んでいた。短編なので、待ち時間のスキマ読書にもぴったりだ。ほんの少しだけでも物語に没頭できるありがたさを感じる。「もう少し読みたかった」と思う気持ちも、次への期待を膨らませてくれる。
こうして、気を遣うことなく一人、自分のペースで歩き、立ち止まり、読書をする。妊娠してから、こんな時間はなかった。子を預けたのは約4時間。こんなに子と離れるのは、子が入院したとき以来だ。あのときは、個室で一人ぼっちの子が心配で心配で、時間がどのように過ぎていたのか、まったく覚えていない。
役所から病院、また別の病院へと歩きながら、ふと本来の自分を感じた。少し早足で、大股。そうだ、きびきび歩くのが好きだった。大臀筋にしっかりと力が伝わる感覚に、思わず身体が嬉しくなる。息が切れそうになっても、足は止まらない。そんなときに、私は自分の身体を、そしてその動きの心地よさを実感しているのだ。